英語の助動詞は、文字通り動詞を「助ける」品詞です。動詞と助動詞を一緒に使うことで、動詞単体では表すことができない意味を表現することができます。
代表的なものに、can(~することができる)、must(~しなければならない)、may(~かもしれない)などがあり、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
本記事では、英語の助動詞の種類と、それぞれの特徴を例文とともに紹介します。
英語の助動詞とは
英語の助動詞とは、動詞(原形)の前に置かれて、動詞に色々な意味を付け加えることができる言葉のことを言います。
例: can(~することができる)、must(~しなければならない)、may(~かもしれない)、shall(~しましょうか)、should(~するべきだ) など

補足すると、助動詞には動詞に意味を添えるもの(法助動詞と呼ばれています)と、それ自体は意味を持たず文法的な働きをするものの2種類があります。
この記事では、動詞に意味を添える法助動詞について詳しく見ていきます!
助動詞の役割と特徴
助動詞は、主語の意志や能力、義務などを表す役割を果たします。
I can swim well.(私は上手に泳ぐことができます。)
上の例文では、助動詞 can(~することができる)+ 動詞 swim(泳ぐ)で、「泳ぐことができる、泳げる」という意味を表現しています。
動詞単体では「泳ぐ」ことだけしか表すことができませんが、助動詞canを前に置くことで「私は泳ぐことができる」という主語の能力を表すことができます。
また助動詞の大きな特徴として、人称や数によって語形が変化しないことが挙げられます。
He must keep his promise.(彼は約束を守らねばなりません。)
上の例文では、主語が3人称単数ですが、動詞のように助動詞mustの語尾にsをつけることはありません。
↓ 3人称単数については、以下の記事でも紹介しています
それでは、以下で助動詞それぞれの特徴を見ていきましょう。
助動詞 ①can
助動詞 can には以下のような意味があります。
can: ~することができる(能力)、~でありうる(可能性)、~してもよい(許可)、~ぐらいしてもいいのに(遺憾な気持ち) など
「~することができる」という意味で知られる canですが、他にも色々な意味があります。
例文で確認していきましょう。
Heavy rains can cause flooding.(激しい雨は洪水を引き起こすことがあります。)
可能性の canです。激しい雨が洪水を引き起こしうることを表現しています。
You can use this pen.(このペンを使っていいですよ。)
こちらは、許可の canです。ペンを使ってもよいと許可を与えています。
助動詞 ②must
助動詞 must には以下のような意味があります。
must: ~しなければならない(義務・強制)、【否定形で】~してはならない(禁止)、~にちがいない(推量) など
must の色々な意味を例文とともに見てみましょう。
You must quit that bad habit.(その悪い習慣をやめなければなりません。)
義務の mustです。その悪い習慣をやめなければならない、やめるべきという意味を表しています。

日常会話では、must は表現として強すぎるため、同様の意味を表す言葉 have to ~ が用いられるのが一般的です!
(have to ~ は、下の⑨で解説しています)
He must be happy to marry her.(彼は彼女と結婚できて幸せにちがいありません。)
推量の mustです。幸せにちがいないと彼の気持ちを推し量っています。
助動詞 ③may
助動詞 may には以下のような意味があります。
may: ~してよい(許可)、~かもしれない(推量)、~でありますように(祈願) など
must を使った例文を見ていきます。
You may use the library for self-study.(自習をするのに図書室を使って良いです。)
許可の mayですね。図書室を使うことを許しています。

①can も許可を表現することができましたね!
mayは、形式ばった言い方なためフォーマルな場面で使われ、
canは、日常会話などカジュアルな場面で使われる と覚えるとよいでしょう。
May your family stay healthy.(あなたのご家族が健康でありますように。)
こちらは祈願の mayです。相手の家族の健康を祈っていることを表現します。
助動詞 ④will
助動詞 will には以下のような意味があります。
will: ~でしょう(未来)、~するつもりだ(意思)、~だろう(推量)、~するものだ(傾向・習性) など
will と言えば「未来を表す」という印象が強いですが、他にも色々な意味を持っています。
I will do my best to make my dreams come true.
(私は、夢をかなえるためにベストをつくすつもりです。)
これは意思の willです。willがあることで、ベストを尽くすという意思を表現することができます。
Dogs will have a strong sense of territory.(犬は縄張り意識が強いものです。)
習性を表す willで、「縄張り意識が強い」という犬の傾向・習性を表しています。
助動詞 ⑤would
助動詞 would には以下のような意味があります。
would: ~だっただろう・~するつもりだった(willの過去形)、よく~したものだった(過去の習慣)、【疑問形で】~してくださいませんか?(丁寧な依頼・勧誘) など
wouldは「willの過去形」であるだけでなく、「よく~したものだった」と過去の習慣を表したり、丁寧な依頼を表したりすることができます。
She was sure that she would become rich in the future.
(彼女は、将来かならずお金持ちになろうと思いました。)
この例文では、willの過去形として wouldが使われています。過去から見た未来について表しています。
When I was a student, I would often go to that shop.
(学生の頃、私はよくその店に行ったものでした。)
こちらは過去の習慣を表す wouldです。昔「よくやっていた」ことや習慣を表現しています。

⑩で紹介する used to ~ にも、「~したものだった」という意味があります!
助動詞 ⑥shall
助動詞 shall には以下のような意味があります。
shall: ~でしょう(未来)、~するつもりだ(意思・決意)、【疑問形で】~しましょうか?・しませんか?(申し出・提案)、~するものとする(規定・約束) など
英語を学習するなかで、shallは目にする機会が少ない言葉といえるのではないでしょうか。古風で、フォーマルなイメージが強いため、使われることが少ないようです。
I shall definitely pass the bookkeeping level 2 exam.
(私は絶対に簿記2級の試験に合格するつもりです。)
主語の意志を表す shallです。「必ず合格する」という強い意志を表しています。
Shall I help you?(お手伝いしましょうか?)
こちらは、申し出の shallです。自分から手伝いを申し出ています。

shallは、④willと同様に「未来」を表すことができる助動詞なのですが、現在ではほとんどの場合で willが用いられています!
助動詞 ⑦should
助動詞 should には以下のような意味があります。
should: ~すべきだ(義務・必要)、当然~のはずだ(当然の推量)、~したいと思う・~なのですが(控えめな表現) など
should を使った例文を見ていきましょう。
You should consider her feelings a little more.
(あなたはもう少し彼女の気持ちを考えるべきです。)
義務・必要の shouldです。彼女の気持ちを考える必要があることを伝えます。
She is smart, so she should pass the exam.(彼女は頭が良いので、試験に合格するはずです。)
当然の推量を表す shouldです。彼女が試験に受かるのは当然である旨を表現しています。
助動詞 ⑧ought to
助動詞 ought to には以下のような意味があります。
ought to: ~するべきだ(義務)、当然~のはずだ(当然の推量)
助動詞 ought toは、⑦で紹介したshouldと似たような意味を持ちますが、義務を表す場合は shouldよりも ought toのほうがやや意味が強くなります。推量を表す場合は、shouldと同じように使用します。
We ought to be quiet on public transport.(公共交通機関では静かにするべきです。)
義務の ought toです。静かにするべき、静かにしなければならないことを伝えています。
She ought to be hungry, since she is on a diet.
(彼女はダイエット中なので、おなかが空いているはずです。)
こちらは、推量を表す ought toです。当然彼女はおなかが空いているはず…と推し量っています。

一般的には、shouldの方が多く使われています!
助動詞 ⑨have to
助動詞 have to には以下のような意味があります。
have to: ~しなければならない(義務)、~に違いない(推量) など
助動詞 have toは、②で紹介したmust と同様に義務や推量を表現することが可能です。
He overslept and had to run to catch the train.
(彼は寝坊したため、電車に乗るために走らなければなりませんでした。
義務を表す have toです。彼が走らねばならなかったことを表現しています。
The sunset seen from the seaside has to be beautiful.
(海辺から見る夕日は美しいに違いありません。)
推量の have toで、海が美しいだろうことを推測しています。
助動詞 ⑩used to
助動詞 used to には以下のような意味があります。
used to: ~したものだった(過去の習慣)、以前は~だった(過去の状態)
助動詞 used toは、「~したものだった」という過去の習慣や過去の状態を表現します。

⑤のwouldと似た意味を持ちますが、wouldが過去を回想的に述べるのに対し、used toは現在と過去を対照して「現在はそうではない」というニュアンスを持ちます。
I used to laugh out loud when I was a child.(子供の頃はよく大声で笑ったものでした。)
過去の習慣を表す used toです。子供の頃よく大声で笑っていた(そして今はそうではない)ことを表しています。
There used to be a cake shop in front of the supermarket.
(昔は、スーパーマーケットの前にケーキ屋さんがありました。)
こちらは過去の状態を表す used toで、過去にケーキ屋さんがあった(が、今はない)ことを伝えています。
まとめ:助動詞の種類と特徴
英語の助動詞にはどのようなものがあるのか、その種類と特徴を解説しました。
最後に、今回登場した助動詞を一覧にまとめます。
① can | ・~することができる(能力) ・~でありうる(可能性) ・~してもよい(許可) ・~ぐらいしてもいいのに(遺憾な気持ち) など |
② must | ・~しなければならない(義務・強制) ・【否定形で】~してはならない(禁止) ・~にちがいない(推量) など |
③ may | ・~してよい(許可) ・~かもしれない(推量) ・~でありますように(祈願) など |
④ will | ・~でしょう(未来) ・~するつもりだ(意思) ・~だろう(推量) ・~するものだ(傾向・習性) など |
⑤ would | ・~だっただろう・~するつもりだった(willの過去形) ・よく~したものだった(過去の習慣) ・【疑問形で】~してくださいませんか?(丁寧な依頼・勧誘) など |
⑥ shall | ・~でしょう(未来) ・~するつもりだ(意思・決意) ・【疑問形で】~しましょうか?・しませんか?(申し出・提案) ・~するものとする(規定・約束) など |
⑦ should | ・~すべきだ(義務・必要) ・当然~のはずだ(当然の推量) ・~したいと思う・~なのですが(控えめな表現) など |
⑧ ought to | ・~するべきだ(義務) ・当然~のはずだ(当然の推量) |
⑨ have to | ・~しなければならない(義務) ・~に違いない(推量) など |
⑩ used to | ・~したものだった(過去の習慣) ・以前は~だった(過去の状態) |
意外に多い英語の助動詞。けっこう頻繁に登場するので、それぞれの特徴をざっくりとでも掴んでおくとよいでしょう。
↓ こちらの記事でも、助動詞が登場します